ジャンルにこだわらず、観た映画についての感想メモです。
映画を観たあとで、「そうだ、そうだ」とか「そいつはちがうぞ」とか
楽しんでいただければと思います。
なお、人によって好みもちがいますし、あなたなりの感想もお持ちでしょうから
あなたにとって不本意なものもあるかもしれません。ご容赦くださいませ。





バーバー
THE MAN WHO WASN'T THERE

(2001米/監督:ジョエル・コーエン/出演:ビリー・ボブ・ソーントン、フランシス・マクドーマンド)

ビリー・ボブ・ソーントンのモノローグで進んでいくモノクロ映画。ビリー・ボブのしゃがれ声にすっかりめろめろ。始終煙草を吸っている姿はボギーのようでもありシナトラのようでもあり。風呂で雑誌を読む女房から「足の毛剃ってくれる?」と言われて、煙草の煙に目を細めながら腕まくりして剃刀を手にする──そんな仕草のひとつひとつが妙に色っぽいのだ。昔風のゆったりしたスーツの後ろ姿もどことなく寂しそうで、それがまたいい。淡々とした語り口に退屈する人もいるだろうが、私的には今年前半のベストワン。


新・仁義の墓場
(2002大映/監督:三池崇史/出演:岸谷五朗、有森也実)

三池崇史が深作の「仁義の墓場」をリメイクしたとか何とかいうすごい映画だ。実在した型破りすぎるヤクザを岸谷五朗が演じている。この映画、何がすごいって主人公のパワーがすごい。相手が警察だろうが拳銃構えた極道だろうが、アホみたいな度胸で突っ込んでいく。で、それが滑稽で笑えるってのもすごい。こんなに激しい生き様で、こんなに激しい映画なのに、コミカルなんだから。深作のオリジナルも見てみたい、というか見なきゃ。
【原作】
『仁義の墓場−実録戦後やくざ史』藤田五郎(青樹社)


悲しみは星影と共に
ANDREMO IN CITTA

(1965伊/監督:ネロ・リージ/出演:ジェラルディン・チャップリン、フェデリコ)

見たことも聞いたこともないイタリア映画だが、いやー。よかった。ナチスによるユダヤ人迫害に巻き込まれてしまう少女と、盲目の弟の話。目がキラキラ輝く少女も毅然として相当いいのだけれど、フェデリコなる弟役の少年、すばらしすぎる。パパに抱きついて天使のような顔をしていたかと思えば、姉をものにしようとする警察官をまんまと罠にはめてゲラゲラ。全体的に見れば、ものすごくやりきれなくて悲しい話なのに、淡々と描かれているあたりもすごい。ブレッソン映画のようで、ひたすら感心した。


汚れなき抱擁
IL BELL'ANTONIO

(1960伊/監督:マウロ・ボロニーニ/出演:マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナーレ)

隣の奥さんから「睫毛が長いわね〜」なーんてからかわれる美男のマストロヤンニ(笑)は、ローマでドンファンな生活を満喫した後、天使のようなカルディナーレと結婚。しかし、妻を愛するがゆえに抱くことができない。それを知って大騒ぎする両親も両親だが、離婚する妻も妻だ(爆)。いいじゃないか、そういう夫婦がいても。でも、当時のイタリアじゃ大問題なんだろうな、きっと。ワシはまだまだ現役じゃと張り切って娼館へ行った父親が、次のカットではいきなり遺影になっていて笑った。


0061/北京より愛をこめて!?
國産凌凌漆

(1994香港/監督:リー・リクチー、チャウ・シンチー/出演:チャウ・シンチー)

いやー。バカだなー。ほんと、バカ(笑)。世界一セクシーな肉屋の兄ちゃん(笑)チャウ・シンチーがスパイだなんて、どう考えても笑える。本部にはちゃーんとQの研究室みたいな、やたら首が飛んだり人形が爆発したりというアホアホな実験風景が描かれているし、靴にもちゃーんと細工があったりしたりして、もう007のパロディとしては、かなりアホな部類に入るのではないでしょうか。


008皇帝ミッション
大内密探零零發

(1996香港/監督:チャウ・シンチー、ヴィンセント・コク/出演:チャウ・シンチー)

これまた、期待を裏切らずアホアホ(笑)。のっけから007を模したシルエットがくねくね踊るオープニングで笑わせてくれる。しかも時代ものだよ(笑)。アクの強いチャウ・シンチーの女装が意外にもイケてるという発見も(そうか?)。


食神
食神

(1996香港/監督:リー・リクチー、チャウ・シンチー/出演:チャウ・シンチー)

カリスマ調理師チャウ・シンチーが、まんまと罠にはめられて、屋台まで身を落とし、やがて少林拳の修行を積み(なぜだ!?)食神に返り咲くという、なんとも激しくクセの強い笑いとベタベタの人情で押していく強烈な映画。しかし、なんでチャウ・シンチーのギャグってのは、いちいちこんなに下品なのだ?いや、もちろん私は好きですけど(笑)。


喜劇王
喜劇之王

(1999香港/監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー/出演:チャウ・シンチー)

お前なんぞに演技ができるか!と、撮影所のスタッフから、とことんひどい扱いを受けるエキストラ、チャウ・シンチー。どん底からはい上がる男を演じさせたら、ほんとこの人はいい。ギラギラしてるもん。で、やっぱりボコボコ人をぶん殴ったりするギャグは相変わらずキツイ。このキツさと、女の子との純愛を追求するロマンティストぶり、そのギャップがたまらない(←すでにファン?)。ジャッキーもちょろっと出てきてうれしい。


少林サッカー
少林足球

(2001香港/監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー/出演:チャウ・シンチー)

まいった。すごい。泣けた。こんなアホみたいな感想しか出ないような、なんだかものすごいインパクトの映画。またまたチャウ・シンチーはゴミ収集人の貧乏青年で、ブスな女の子にまたまた純情な恋をして、またまた少林拳で修行を積んで這い上がる!!という、まさにチャウ・シンチー美学の結集ともいうべき作品で、やっぱり暴力ギャグはキツくて強烈。しかし、恋愛はこっ恥ずかしいほどスウィート。それでもって今回は、少林拳を応用した?サッカーアクションが痛快。しかも大いに笑わせてくれる。特にツボだったのは路上でいきなり始まるミュージカルシーン。もう、アホすぎ、パワフルすぎ。でも、なぜかチャウ・シンチーの瞳は醒めていて、そのへんも妙に気になったり(これってファン?)。


ミモラ〜心のままに
HUM DIL DE CHUKE SANAM

(1999印/監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー/出演:アイシュワリヤー・ラーイ)

もうね、はじめっからキラキラしてて歌ったり飛び跳ねたり笑ったり泣いたりしちゃって、ナンディニに魅了されっぱなし。こんなに娘らしい娘なんて久しぶりに見たって感じ(オヤジくさいな)。そこへ現れる突然のイタリア人青年(どう見てもインド人だしB型ぽいぞ)。あっという間にラブラブモード炸裂の2人に目も当てらんと思っていると、あれよあれよと別れが来て、それがなぜか泣けてくる。その後、結婚したナンディニの夫(こちらはほんとのインド人)は、自分に気持ちのない妻を察し、例のイタリア男を捜そうと、一緒にイタリアへ飛んだりして、ものすご〜くいい人!映画は3時間の超長丁場だけど、とにかくサービス精神あふれまくりで飽きさせない。いや、でもインドものが苦手な人には拷問かも(笑)。心と時間とお金に余裕のあるときに見たい映画。


シンプル・プラン
A SIMPLE PLAN

(1998米/監督:サム・ライミ/出演:ビル・パクストン、ブリジット・フォンダ)

たまたま見つけてしまった大金をどうするかで、悩みに悩んで結局ネコババすることになった3人。大卒で職もあってきれいな奥さんがいて、かわいい子どもも生まれたばかりの主人公は必死になって事件を隠そうとするけれど、何もかも弟とは正反対の冴えない兄と、人生うまくいってない友だちが、あれやこれやと問題を起こして、なかなか統率がとれない。バカ正直で繊細でいちばんの小心者に見える兄役のビリー・ボブ・ソーントンが、実は誰よりも狡猾に見える瞬間があったりして、どっきり。クソ真面目な主人公に冷静で的確な指示を与える妻のブリジット・フォンダもすごい。
【原作】
『シンプル・プラン』スコット・B・スミス(扶桑社ミステリー)


ニューヨークの恋人
KATE & LEOPOLD

(2001米/監督:ジェームズ・マンゴールド/出演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン)

タイムスリップものの恋愛映画というと今までにもあったけれど、これも期待を裏切らず、これでもかこれでもかというほどロマンティック(笑)。こんなことあるわけないじゃん!と思いつつ、タイムスリップしてきたならアリかもなあ、と思ったり(アホ)。ばりばりの働く女なメグ・ライアンから見れば、過去から来た貴族ヒュー・ジャックマンは、レディファーストで物知りでまさに理想的な男。手の込んだ朝食を作ってくれるシーンなんて涙もの。ラストもね、わかってるんだけどね、やっぱり泣ける。


プロミス
PROMISES

(2001米/監督:ジャスティン・シャピロ、B・Z・ゴールドバーグ他)

アメリカに住むユダヤ人監督によるドキュメンタリー。ユダヤ人により住んでいた土地を追い出されたパレスチナ人と、先祖念願の安住の地を手に入れたイスラエル人。聖地エルサレムをめぐる2つの民族の溝はなかなか埋まらない。それでも、それぞれの子どもたちは偏見を捨てて会ってみようと決心し、平和を誓う。イスラエル人が皆、熱心なユダヤ教徒ではないし、パレスチナ人が皆、テロリストなわけではない。小さな子どもたちが真剣に平和への願いを語る姿は頼もしい。


暗い日曜日
GLOOMY SUNDAY

(1999独・ハンガリー/監督:ロルフ・シューベル/出演:エリカ・マロジャーン、ステファノ・ディオニジ)

呪われたシャンソン「暗い日曜日」の作者と、曲が生まれたレストランの物語。ナチス占領下のブタペストで、ユダヤ人店主とその美しい妻と、貧しい作曲家の奇妙な友情と三角関係が面白く目が離せない。男たちを虜にする妻役の女優(エリカ・マロジャーン)がそれはもう美しくてチャーミングで、世の中にはこんな魅力的な女性がいるのかと思うほど。暗い時代と暗いシャンソンと暗い運命、後味は悪くて仕方ないが、それはそれだけ映画に見入ってしまったという証拠。シャンソンが耳から離れない。


ガウディアフタヌーン
GAUDI AFTERNOON

(2001米・スペイン/監督:スーザン・シーデルマン/出演:ジュディ・デイヴィス、マーシャ・ゲイ・ハーデン)

その名の通り、スペインが舞台でガウディ建築も出てきて見ているだけで楽しい映画。主人公が更年期目前の翻訳家で、この歳になって母親との関係を清算できないでいるあたりが共感できて泣けた。後はゲイだのレズだの服装倒錯者だの出てきて、かなりキワモノかも。
【原作】
『ガウディ・アフタヌーン―黒い鞄の秘密』バーバラ・ウィルソン(現代書館)


パルコフィクション
(2002パルコ/監督:矢口史靖、鈴木卓爾/出演:真野きりな、村上東奈)

矢口史靖と鈴木卓爾、両監督によるショートフィルム5本。題材はすべてPARCO。矢口監督と鈴木脚本による「ひみつの花園」をこよなく愛する私は、大笑いさせていただいた。なんというか小学6年男子の思考回路をお持ちのお2人が放つギャグの数々、すべてツボなのである。特に子供相談室の斧さん(小野じゃないよ)面白すぎ。


トキワ荘の青春
(1996カルチャア・パブリッシャーズ/監督:市川準/出演:本木雅弘、鈴木卓爾)

静かに静かにしっとりと進む映画で、映像もどこかノスタルジックでとってもきれい。手塚治虫が引っ越した後のトキワ荘で漫画家の卵たちがどんどん売れっ子になっていく様子は、見ているだけでわくわくする。この時代の漫画が不思議な魅力を放っているのは、作り手が漫画しかしらないオタクではなく、文学から映画まで幅広い知識を吸収していて、新しい表現としてたまたま漫画を選んだからなのだなあと勝手に思ってしまった。


ぼんち
(1960大映/監督:市川崑/出演:市川雷蔵、若尾文子)

増村保造かと勝手に思っていたら市川崑だった。噂には聞いていたが、市川雷蔵かわいすぎ。中学時代からの眠狂四郎ファン(田村正和も可)だが、こんな雷蔵はじめて見た。女たらしのぼんぼんの映画ってだけじゃない、戦争まですっとぼけて笑いとばすコメディでもある。そして若尾文子は相変らず美しい。
【原作】
『ぼんち』山崎豊子(新潮文庫)


氷点
(1966大映/監督:山本薩夫/出演:若尾文子、安田道代)

山本薩夫のドキュメンタリーを以前16ミリで見せられたことがあるが、思いっきり左のバイブルという気がした。しかし、これはべたべたどろどろのメロドラマ。ちょっぴり悪くて美しい妻であり母である若尾文子、潤んだ目ときりっとした眉毛がいい。若尾に迫る病弱な(笑)成田三樹夫もいい。
【原作】
『氷点(上下)』三浦綾子(角川文庫)


恋人よ帰れ!わが胸に
THE FORTUNE COOKIE

(1966米/監督:ビリー・ワイルダー/出演:ジャック・レモン、ウォルター・マッソー)

アメフトの選手に追突されたのをいいことに保険金をふんだくろうとする悪徳弁護士ウォルター・マッソー最高。いや、怪我をした張本人はお人よしのジャック・レモンで、マッソーは義理の兄(←この微妙なポジションがいい)。べらべらと判例を並べ立てるマッソーに惚れ惚れ。


裸の銃を持つ逃亡者
WRONGFULLY ACCUSED

(1998米/監督:パット・プロスト/出演:レスリー・ニールセン、リチャード・クレンナ)

レスリー・ニールセン、アホすぎ。いい歳して体当たりでギャグをかますプロ根性?に感動。一生ついていきたい。(←それだけかよ!)


ハート・オブ・ウーマン
WHAT WOMEN WANT

(2000米/監督:ナンシー・マイヤーズ/出演:メル・ギブソン、ヘレン・ハント)

踊り子の母に育てられて、周りの女たちからチヤホヤされてきたモテモテ男(だと自分では思ってる)メル・ギブソン。ある日突然、世の女たちの考えてることがぜーんぶ聞こえてしまう、という悲劇なのか喜劇なのかわからないすごいことに。女の本音が見えた途端に、今まで自信たっぷりだった男がびくびくしちゃうあたりがおかしい。それでも、女の言わんとしていることを先回りして、「あ!この人、私と考えてることいっしょ!」と思わせる技を編み出すあたりはさすが(笑)。それにしても、ヘレン・ハントって落ち着いてて全然ヒステリックじゃないし、あっさりしてるのにすごく女っぽい。ありそうでない貴重なキャラだ。




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